ポルシェといえば水平対向エンジン

エンジン

ポルシェは数少ない水平対向エンジンを採用している自動車メーカーです。どうしてポルシェは水平対向エンジンにこだわるのでしょうか。

水平対向エンジンとは

水平対向エンジンとは左右対称に配置されたピストンが水平方向に対向して動くエンジンのことで、その様子が、ボクサーがパンチをぶつけ合う様子に見えることから「ボクサー・エンジン」とも呼ばれています。

水平対向エンジンのメリット

水平対向エンジンは理論上振動が少ないことと、低重心、同じ気筒の直列エンジンに比べて全長が短くなるなどです。
左右のピストンが水平に向かい合って往復するため、慣性力が少なくなり、回転バランスに優れています。そのため、理論上は振動を相殺することが可能でバランサーが必要ありません。
直列やV型に比べエンジンの背が低くなるので、それを低い位置にマウントすることで低重心になります。さらに全長を短くできるので、室内の居住スペースも大きく摂ることも可能です。

水平方向エンジンのデメリット

メリットとしてあげた低重心ですが、水平対向エンジンはエンジン下に排気管をレイアウトせざるを得ず、重心に大きな影響を与えるクランクセンターが高くなってしまいます。
排気管の設定次第で低くできるかもしれませんが、排気系のレイアウトが理想から遠ざかってしまい、性能面で妥協しなくてはならず微妙なところです。
また、横に広いレイアウトは、エンジンルームの横幅に余裕がなくなるため、ピストンストロークによって排気量を上げることが困難です。そのため、エンジンの改良で自由度が少ないデメリットもあります。
シリンダーが水平のため、オイル漏れを起こしやすいのも特徴です。

ポルシェが水平対向エンジンにこだわるわけ

ポルシェの1号車として登場したポルシェ「356」に搭載されたエンジンは、空冷4気筒PHVの水平対向エンジンでした。その後、911シリーズにも水平対向エンジンが採用され、現代にいたります。
こうして「911=水平対向エンジン」という伝統に加え、水平対向エンジンのメリットと相まって採用され続けています。
ただし、ポルシェのボクスターやケイマンのように、かつて水平対向6気筒エンジンを搭載していましたが、年々厳しくなる排ガス規制やパワー・トルクの技術革新によって、2016年から水平対向4気筒エンジンを採用したモデルも登場しました。
さらに、排ガス規制や電動化が予想される中、ポルシェは2025年までに全モデルの半分を電動化すると宣言し、2019年にポルシェ初の量産EVタイカンを発表しました。